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台湾家庭医、その矜持に触れる②

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台湾大学病院家庭医学部のJeremy Li先生の訪問診療に同行した。

タクシーに乗って向かった一件目は初診の患者さん。外傷性脳血管障害の後遺症、意識障害、気管切開、経鼻経管栄養、尿道留置カテーテル。
じっくり時間をかけてご家族と信頼関係を構築していく様子を見せていただいた。
ご家族の思いと在宅医の悩みは、日本と同じだと感じた。

Li先生の診療同行を通じて、いくつか日本との違いを感じるとともに、
患者さんとご家族のありかたは基本的に日本と同じだと思った。
制度的に未整備な中、真摯に在宅医療に取り組む専門職の姿を目の当たりにし、
恵まれた環境に甘んじてきた自分たちの姿勢を反省せずにはいられなかった。

台湾は高齢社会に対して、本格的な迎撃態勢を作ろうと周到に準備を進めている。
介護保険法の成立から20年を迎える日本が、試行錯誤してきたプロセスを追体験しながら、日本がたどり着いたいくつかの暫定的なゴール、地域包括ケアシステムの概念を前提とした多職種連携の推進、小規模多機能型サービスや暮らしの保健室などの地域リソースの整備などに取りかかっている。
介護保険も、在宅医療の制度面の整備もこれからだが、健康保険証に埋め込まれたICチップを経由してクラウド上に統合管理された血液データや処方履歴にアクセスできるなど、日本よりも進んでいる部分も少なくない。具体的な目標イメージもできているので、あっという間にキャッチアップされてしまうのだろうと思った。
日本も高齢先進国という自己評価に胡座をかくことなく、各国の意欲的な取り組みにアンテナを立てるべきだと感じた。

何件かのお宅には外国人メイドがいた。月10万円くらいから24時間住み込みの外国人メイドが雇えるという。
10年前まで主力だったタイ人は減少、現在はインドネシア、ベトナムなどがメインになりつつあるとのこと。介護力の不足をカバーする事実上、貴重な戦力だが、ASEAN各国の経済力の向上に伴い、その確保が難しくなってきているという。
日本でも介護現場での外国人の活用が議論されているが、経済格差に依存した人材確保には「期限」があることを理解しておくべきだと思う。


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